インビザライン矯正を始めると、多くの方が一時的に「話しにくさ」や「滑舌の悪さ」を感じることがあります。これは、口腔内にアライナーという異物が入ることで、舌の動きが制限されたり、発音に必要なスペースが微妙に変化したりするために起こります。特に、サ行(さしすせそ)、タ行(たちつてと)、ラ行(らりるれろ)など、舌先を歯の裏側や上顎に接触させて発音する音が不明瞭になりやすいと言われています。私自身もインビザライン経験者ですが、治療開始当初は、まるで舌がもつれるような感覚で、スムーズに言葉が出てこないことがありました。普段何気なく話していた言葉が、意識しないとうまく発音できないのです。仕事で電話応対をしたり、プレゼンテーションをしたりする際には、特に気を使いましたし、相手に聞き返されることもあり、少しつらい思いをした記憶があります。また、アライナーの厚みによって、わずかに口が閉じにくくなったり、唇の動きがぎこちなくなったりすることも、話しにくさに繋がる要因の一つです。しかし、この話しにくさや滑舌の悪さは、ほとんどの場合、一時的なものです。数日から数週間程度で、舌がアライナーの存在に慣れ、無意識のうちに発音の仕方を調整できるようになってきます。意識してゆっくりと話す練習をしたり、早口言葉を試してみたりするのも効果的かもしれません。どうしても気になる場合や、長期間改善しない場合は、アライナーの形状に問題がある可能性も考えられますので、担当の歯科医師に相談してみましょう。アライナーの縁を調整してもらうだけで、話しやすさが格段に改善されることもあります。インビザライン治療中の話しにくさは、多くの方が経験する「あるある」の一つです。つらいと感じるかもしれませんが、いずれ慣れるものと割り切り、焦らずに口腔内環境の変化に適応していくことが大切です。