20代の私が歯列矯正を始めた理由

私が歯列矯正を決意したのは、26歳の春でした。昔から自分の歯並び、特に前歯のガタつきがコンプレックスで、写真を撮るときはいつも口を閉じてぎこちなく笑う癖がついていました。友人たちと談笑しているときも、ふとした瞬間に口元を手で隠してしまう自分が嫌で、いつかは矯正したいと漠然と考えてはいたものの、なかなか踏み出せずにいました。20代も後半に差し掛かり、仕事にも少しずつ慣れてきて、経済的にも精神的にも余裕が出てきた頃、「今やらなかったら、きっと一生後悔する」という思いが日に日に強くなっていったのです。費用や期間、治療中の痛みなど、不安がなかったわけではありません。インターネットで体験談を読み漁っては一喜一憂し、矯正歯科の無料カウンセリングにもいくつか足を運びました。そこで先生方から丁寧な説明を受け、様々な治療法があること、そして自分と同じように悩んでいた多くの人が矯正を経て自信に満ちた笑顔を手に入れていることを知り、ようやく決心が固まりました。私が選んだのは、透明なマウスピース型の矯正装置です。仕事柄、人と接する機会が多く、できるだけ目立たない方法が良かったこと、そして食事や歯磨きの際に取り外せる手軽さが決め手でした。実際に装置が届き、初めて装着した日のことは今でも鮮明に覚えています。最初は少し締め付けられるような違和感がありましたが、鏡に映る自分の口元は、思ったよりもずっと自然で、これなら続けられそうだと安心しました。もちろん、矯正生活は楽なことばかりではありません。食事のたびに装置を外して歯を磨く手間や、新しいマウスピースに交換した直後の数日間の痛みは、正直言って大変です。でも、少しずつ歯が動いていくのを実感できる喜びや、日に日に綺麗になっていく歯並びを見るたびに、頑張ろうという気持ちが湧いてきます。周囲の友人や同僚も、私が矯正を始めたことを温かく応援してくれており、それも大きな支えになっています。「歯並び綺麗になってきたね」と言われると、本当に嬉しくて、矯正を始めて良かったと心から思います。まだ治療は道半ばですが、あの時勇気を出して一歩踏み出した自分を褒めてあげたいです。