インビザラインで八重歯は治せる?可能性と限界

八重歯は、犬歯(糸切り歯)が歯列から飛び出して生えている状態を指し、日本ではチャームポイントとして捉えられることもありますが、歯並びや噛み合わせの観点からは不正咬合の一種です。この八重歯を、透明なマウスピース型矯正装置であるインビザラインで治すことは可能なのでしょうか。結論から言うと、多くの場合、インビザラインで八重歯を治療することは可能です。インビザラインは、3Dシミュレーションに基づいて作製されたアライナー(マウスピース)を段階的に交換していくことで、歯を精密に移動させる治療法です。八重歯の原因が、単に歯が生えるスペースが不足していることによるものであれば、歯列を拡大したり、必要に応じて歯を少量削ってスペースを作ったり(IPR:歯間削合)、あるいは抜歯を行ったりすることで、飛び出している犬歯を正しい位置に誘導することができます。特に、八重歯の突出度が比較的軽度で、顎の骨格に大きな問題がない場合は、インビザラインの良い適応となることが多いです。しかし、インビザラインにも限界があります。八重歯の突出度が非常に大きい場合や、犬歯が歯ぐきのかなり高い位置に埋まっている場合、あるいは顎の骨格が極端に小さいなど、歯の移動量が非常に大きかったり、複雑な歯のコントロールが必要だったりするケースでは、インビザライン単独での治療が難しいことがあります。そのような場合には、ワイヤー矯正の方がより確実かつ効率的に治療できると判断されたり、インビザラインとワイヤー矯正を併用するハイブリッド治療が提案されたりすることもあります。また、犬歯は歯根が長く、移動に時間がかかる歯の一つです。そのため、八重歯の治療には、ある程度の期間が必要となることを理解しておく必要があります。ご自身の八重歯がインビザラインで治療可能かどうか、またどのような治療計画になるのかについては、矯正専門の歯科医師による精密な検査と診断を受けることが不可欠です。