物心ついた頃から、私はいつも口をぽかんと開けている子どもでした。両親からは「口を閉じなさい」とよく注意されましたが、鼻が詰まっていることが多く、無意識のうちに口で呼吸するのが当たり前になっていたのです。いびきもひどく、風邪も引きやすかった記憶があります。鏡を見るたびに、どこか締まりのない自分の顔つき、特に少し前に出た上の前歯と、なんだかハッキリしない顎のラインがコンプレックスでした。いわゆる「アデノイド顔貌」という言葉を知ったのは、高校生になってからです。インターネットで自分の顔の特徴と照らし合わせ、まさにこれだ、と思いました。そして、その原因が幼少期のアデノイド肥大と長年の口呼吸にある可能性が高いことも知りました。大学進学を機に、このコンプレックスを解消したいという思いが強くなり、勇気を出して矯正歯科と耳鼻咽喉科を受診しました。耳鼻咽喉科では、やはりアデノイドがまだ残っており、鼻腔も狭いとの診断。まずは鼻の通りを良くするための治療と、口呼吸を鼻呼吸に改善するためのトレーニングを指導されました。並行して矯正歯科では、私の歯並びは典型的な上顎前突で、開咬の傾向もあるとのこと。抜歯を伴う本格的な歯列矯正が必要と診断されました。治療は決して楽なものではありませんでした。耳鼻科での治療、矯正装置の装着感、食事の制限、そして何よりも見た目の変化への期待と不安。特に口呼吸の癖を直すのは本当に大変で、意識して鼻で呼吸する練習を続けました。矯正治療が中盤に差し掛かる頃、少しずつですが、自分の横顔のラインが変わってきたことに気づきました。口元が引っ込み、顎のラインが以前よりシャープに見えるようになったのです。そして、何よりも驚いたのは、鼻呼吸が楽になり、いびきもほとんどかかなくなったこと。矯正治療が終わり、装置が外れた日の感動は今でも忘れられません。歯並びはもちろんのこと、長年コンプレックスだった顔つきも、以前よりずっとすっきりとし、自信を持って笑えるようになりました。アデノイドと歯列矯正は、私にとって見た目だけでなく、健康面でも大きな変化をもたらしてくれた、人生のターニングポイントだったと感じています。
アデノイドと口呼吸私の矯正体験談