インビザライン矯正の治療期間は、なぜ人によって大きく異なるのでしょうか。その背景には、いくつかの重要な要因が複雑に絡み合っています。これらの要因を理解することは、治療計画を立てる上で、また治療中のモチベーションを維持する上で役立ちます。まず、最も大きな要因は「不正咬合の種類と重症度」です。歯並びの乱れが軽微で、動かす歯の本数や移動距離が少なければ、治療期間は比較的短く済みます。しかし、歯のねじれが強い、歯が大きく傾いている、あるいは抜歯が必要なほど歯列のスペースが不足しているなど、複雑な問題を抱えている場合は、歯を理想的な位置に動かすために多くのステップと時間が必要となり、治療期間も長くなります。噛み合わせに問題がある場合も同様で、上下の顎の関係を調整するには時間がかかることがあります。次に、「年齢」も影響します。一般的に、骨の代謝が活発な成長期のお子様や若い方は、歯が動きやすく、治療期間が短縮される傾向にあります。一方、成人、特に中高年になると、骨が硬くなり歯の移動速度が緩やかになるため、治療期間が長くなる可能性があります。そして、治療期間を最も直接的に左右するのが「患者さんの協力度」です。インビザラインは、1日20~22時間以上のアライナー装着が絶対条件です。この装着時間を守れないと、歯は計画通りに動かず、治療期間は確実に延長します。また、アライナーの交換時期を自己判断で変更したり、定期的な通院を怠ったりすることも、治療の遅延に繋がります。さらに、「歯の動きやすさ」には個人差があります。同じような歯並びでも、骨密度や歯根膜の状態など、目に見えない要素によって歯の移動速度が異なることがあります。また、治療中に虫歯や歯周病などのトラブルが発生すると、そちらの治療を優先する必要が生じ、結果として矯正治療期間が延びることもあります。これらの要因を総合的に判断し、歯科医師は個々の患者さんに合わせた治療計画と予想期間を提示します。
インビザライン治療期間を左右する要因とは?