インビザライン矯正の大きなメリットの一つは、食事の際にアライナー(マウスピース)を取り外せるため、基本的に食事制限がないことです。ワイヤー矯正のように、硬いものや粘着性のあるものを避ける必要はありません。しかし、この「取り外せる」という点が、逆にストレスの原因になることもあります。まず、食事のたびにアライナーを外し、食後は歯を磨いてから再び装着するという一連の作業が、思った以上に手間だと感じる人は少なくありません。特に外出先での食事や、間食の際には、アライナーの着脱と口腔ケアの場所やタイミングに気を遣う必要があります。友人と気軽にカフェでお茶をしたり、ちょっとしたお菓子をつまんだりするのも、以前のように自由にはいきません。「これを食べたらまた歯磨きか…」と思うと、ついつい間食を我慢してしまったり、食事自体が億劫になったりすることもあるでしょう。また、アライナーを外している時間は、1日の装着時間(推奨20~22時間以上)から差し引かれます。そのため、だらだらと長時間食事をしたり、食後の歯磨きを後回しにしたりすると、装着時間が不足してしまう可能性があります。これがプレッシャーとなり、「早く食べ終えなければ」「すぐに歯を磨かなければ」と焦りを感じる人もいます。さらに、色の濃い飲み物(コーヒー、紅茶、赤ワインなど)を飲む際にアライナーを装着したままだと、アライナーが着色してしまうことがあります。そのため、飲み物の種類にも気を遣う必要が出てきます。これらの細かな制約や手間が積み重なると、食事に対するストレスを感じやすくなるのです。対策としては、外出時には携帯用の歯ブラシセットやアライナーケースを必ず持ち歩く、間食の回数を減らす、色の濃い飲み物はアライナーを外して飲むか、ストローを使うなどの工夫が挙げられます。また、「今は矯正期間だから仕方ない」と割り切り、完璧を求めすぎないことも大切です。つらいと感じる食事の制約も、美しい歯並びを手に入れるための一時的なものと捉え、上手に付き合っていくことが求められます。
インビザラインの食事制限とストレス